服部美沙は結婚してからずっと60.39㎡の2LDKの賃貸に住んでいた。
居室は9畳と8畳。
9畳は間仕切りでLDKと一体にすることができるので、2歳の美羽(みう)と1歳の康太(こうた)の部屋にしている。8畳は家族の寝室だ。
それなりに気に入っているが、4人家族にこの間取りは少々狭い。
それに、美羽と康太、それぞれに子ども部屋が必要になった場合、男女を同室にするわけにはいかない。
家賃7万円を払い続けるなら 思い切って家を買うのもありなのでは?と思う。
単純に計算すると年間で86万円の支払いがあるということで、約1,500万円の家を購入するとした場合、7万円の返済で考えると返済期間は20年ほどになる。
家や土地はゆくゆく資産になるが、賃貸は手元に何も残らない。
身の丈に合った暮らしができるなら十分、いや、ぜいたく過ぎるくらいだ。
夫の孝之は「ローンを抱えるのが不安だから」と購入には消極的だったが、美沙は「ローンを組むならなるべく若いうちの方がいい」と説得した。
二人で決めて、二人で頑張って貯金をしてきたのだ。
一戸建てを購入するくらいの頭金はできている。私たちがこれから購入するマイホームは、その後何十年に渡って家族の人生を守るためのものだ。
理想の家にたどり着くために、家とお金のことをもっと知ろう。
強い決意を持って、美沙はノートパソコンを開き電源を入れた。
※このお話は一般的に寄せられる家づくりへの想いや悩みを物語風にアレンジしたものです。実在の人物や団体などとは関係ありません。