結婚したらいつか家を建てたいね。
実家は建売住宅だったから注文住宅がいいな。
そう言って屈託なく笑うみどりと一緒にモデルハウス巡りを始めたのは4月も半ばの頃。晃も上司から「そろそろ家を建てたらどうだ?」と言われていたし、頃合いなのかもしれない。
今はまだ夫婦二人きりの松尾家の生活だが、将来的には子どももほしい。ライフプランを考えると二人とも働いているとはいえ、大手メーカーの注文住宅には手が届かない気がして、ついローコスト住宅を謳うモデルハウスに足が向いてしまう。それでもみどりはとても楽しそうにモデルハウスを見て回る。
「あのモデルハウスも入ってみようよ!」
みどりの指が指し示す向こうには『健康住宅の家づくり』というのぼりが立っていた。
「健康住宅か。インターネットでよく見かけたけど入ってみるのは初めてだね。1度くらいは見てみようか」
扉を開けた瞬間、自然の中にいるような心地よさを感じた。木の香りがふわりと漂う。家の中の空気を意識したのは初めてかもしれない。
そこで住まいと健康に関する話を聞いた。ホコリや化学物質が原因でシックハウスやアレルギーに悩まされるケースが多いこと、家のあたたかさが健康に大きく関わること。
毎日暮らす家だからこそ、安全で安心して過ごせる場所にしたい。その日、晃は初めて住まいと健康を意識した。
※このお話は一般的に寄せられる家づくりへの想いや悩みを物語風にアレンジしたものです。実在の人物や団体などとは関係ありません。