住宅展示場を見て回った先週の日曜日。
広い一軒家の、インテリアも華やかに整えられた様子を見た娘の咲香は「こんな家に住めたらいいね」「もし住めたらあのお部屋で何して遊ぼうかな」とはしゃいでいた。
「オレンジ色の瓦を使った南欧風?の家がかわいくて良かったな。レンガや石造りのアプローチも明るくて、こんな家でガーデニングやってみたいって思っちゃった。亮くんは展示場で見た家のうちどれがよかった?」
「僕がいいなと思ったのは、目隠しフェンスが施されたシンプルモダンなデザインの家。内観だと、やっぱり吹き抜けには憧れるな」
遅くまで眠りに落ちるのを我慢して、話に花を咲かせるのも家づくりの楽しみの一つなのかもしれない。
日曜日の夜にしてはめずらしく遅くまで起きていた。この会話に咲香が加わるとどうなるのだろう。
そして今日。
「そういえば、これ。この前遊びに行ったモデルハウスの営業さんから届いてたんよ」
と、由紀子がキッチンからコーヒーと一緒に手紙を持ってきてくれた。
そこに綴られていたのは、家づくりを考えはじめたばかりの僕たちに向けたアドバイスだった。
「確かに。亮くんと私の考える“ナチュラル”のイメージだってきっと違うよね」
「僕の思う“ナチュラル”は、木目の床やダイニングテーブルやったけど、由紀子は?」
「私の“ナチュラル”は、オフホワイトの色味」
「言葉一つとっても、お互いに感じることが違うのに、家となると僕らの違いはもっとたくさんあるんやろうな」
「でも、その話し合いこそが、家づくりの第一歩なんやろうね」
由紀子の言う通りだ。
家づくりに対して不安にならないために、迷わないために、まず家族の話し合いから始めていこう。
どのような家に住みたいか、どのような暮らしをしたいのか、家族で話し合いながらイメージを固めていこう。
そんな思いを胸に、亮はコーヒーを飲み干した。
※このお話は一般的に寄せられる家づくりへの想いや悩みを物語風にアレンジしたものです。実在の人物や団体などとは関係ありません。